こんにちは けいこぶ(@kei_cob) です。
ブロガーにとってGoogleアルゴリズムの変動が命取りになるのと同じように、ユーチューバーにとっての命綱はYouTubeの規約です。
そんなユーチューバーにとって死活問題のYouTube規約ですが…
2019年9月4日。
一部のユーチューバーにとって大打撃をこうむる可能性のある規約の変更がなされました。
その変更とは、YouTubeでの子供向けコンテンツにおけるデータ保護を強化するためデータの収集方法と使用方法に関するものです。
もう少しわかりやすく一言でいいますと…
「YouTubeでの子供向けコンテンツの収益化が制限される可能性があります」
子供向けコンテンツ。
YouTubeをパラパラと視聴していただくとわかると思うのですが、現時点ではかなりの子供向けコンテンツがあふれています。
これらの大半において、収益化が無効にはなりませんが制限される恐れが出てきました。
■目次■
子供向けコンテンツとは何なのか?
はじめに、今回の変更の対象となっている子供向けコンテンツを整理したいと思います。
今回の変更アナウンスにおいては、以下の要素をコンテンツとしている動画は子供向けとして認識されるといわれています。
・人気の子供向け番組やアニメキャラクター
・子供のおもちゃを使用したお芝居や物語
・ごっこ遊びや創作遊びなど、子供が主役の一般的な遊び
・子供向けの人気の歌、物語、詩
これらの要素を動画の主要なコンテンツにしている場合は、後述する収益化の制限がかかります。
実際のところ、これらの子供向けコンテンツを動画をテーマにしている動画はかなりあります。
ごっこ遊びや創作遊びをテーマにしているチャンネル、わらべ歌や童話をテーマにしているチャンネル、子供向けのおもちゃをレビューしているチャンネル。
それらのすべてがアウトになります。
もちろん、アンパンマンやしまじろうなどのアニメ番組を違法に流したり、諸々の著作権を侵害している違法チャンネルは論外ではありますが、そうではないレビューチャンネルや創作チャンネルすらも対象になるのは脅威です。
対象のチャンネルではパーソナライズ広告が停止される
では今回の規約変更にかかってしまうと何がマズいのか?
YouTubeの変更アナウンスでは次の2点が挙げられています。
・子供向けコンテンツでは、コメントなどの一部の機能が利用できなくなります。
ここで、2つ目の「子供向けコンテンツにおけるコメント機能の制限」は今にはじまったことではありません。
YouTubeは2019年2月に子供向けコンテンツのコメント制限を発表しています。
これはYouTubeで子供の性的搾取が行われているとの批判を受けての対処になります。
ですので、今回の規約変更で問題なのは1つ目の「パーソナライズ広告の掲載停止」です。
こいつがかなりヤバいです。
ここで、パーソナライズ広告ってなんだ?
と思われる人もいると思います。
パーソナライズ広告とは、ユーザーの情報を収集しておきユーザーに最適な広告を出すタイプの広告です。
例えば、私は最近、賃貸物件を探しているのですが、○○区の賃貸物件を探した後に他のサイトへ行くと「○○区のおすすめ賃貸」みたいな広告が表示されることがあります。
「このサイト、なんで俺が○○区の賃貸物件を探しているのを知ってんだ?」となりましたが、あれがパーソナライズ広告あるいはリマーケティング広告と呼ばれるものです。
そしてこのパーソナライズ広告ですが、ユーチューバーにとっては大きな収益源となっています。
一般的にパーソナライズ広告は単価が高く、収益面での貢献度が大きいと言われているからです。
ゆえにパーソナライズ広告を停止されるということは収益の大部分を失うといっても過言ではありません。
このことは公式のアナウンスにも次のように書かれています。
COPPA に従い、パーソナライズド広告(ユーザーが過去に Google の製品やサービスをどのように使用したかに基づいてターゲティングされる広告)を子供へ表示することは許可されません。この措置が適用されると、一部のクリエイターは収益が減少する可能性があります。パーソナライズされていない広告(ユーザーデータではなくコンテンツに基づいて表示される広告)は、子供向けコンテンツに引き続き表示されることにご注意ください。
(出典:YouTubeヘルプ「YouTube.com の子供向けコンテンツに関して今後予定されている変更点」より)
一応、「パーソナライズ広告が停止されてもパーソナライズされていない広告は表示されますよ」とフォローはされています。
しかしながら、実際のところはパーソナライズ広告を失うというのはかなりの大打撃です。
「収益が減少する可能性があります」と書かれていますが、これは間違いなく減少するでしょう。
掲載されている広告のうちパーソナライズ広告の占める割合は不明ですので、今回の変更における影響度は現時点では不明です。
ですが、客観的な情報から鑑みるに「限りなく大打撃に近い」と推察されます。
背景にあるのはGoogleに課せられた制裁金
そもそも、なぜこのタイミングでパーソナライズ広告を狙い撃ちして制限するのか。
それにはグーグルのかかえるトラブルが背景にあります。
米グーグル(Google)は4日、傘下の動画投稿サイト「ユーチューブ(YouTube)」で子どもの個人情報を違法に収集・共有した問題に対する制裁金として、1億7000万ドル(約180億円)を支払うことで当局と合意した。合意内容をめぐっては同社に対して甘すぎるとの批判も出ている。
グーグルは米連邦取引委員会(FTC)およびニューヨーク州の司法長官と合意に達した。当局によると、ユーチューブは1998年の連邦法「児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)」に違反した。制裁金の額は同法の違反に対するものでは過去最大となるという。
この連邦法は、子ども向けのウェブサイトやオンラインサービスで13歳未満の子どもから広告目的で使用される可能性のある個人情報を収集する際には、事前に親の同意が必要と定めている。
(出典:AFP「グーグル、ユーチューブで子どもの情報違法収集 180億円制裁金に合意」より)
アメリカでは13歳未満の子供に対する個人情報(パーソナライズ広告の元情報なども含む)を収集する際には保護者の同意が義務づけられているみたいですが、どうやらそれを行わずに個人情報を収集してしまったようです。
そして、それに対して過去に例をみないほどの制裁金が課せられたのです。
180億円なんてのは普通の企業ではとうてい払いきれる額ではありません。
しかしながら、そこは天下のGoogle様。
これでも会社が傾かないのは本当にすごいと思います。
ですが再発防止には努めなければいけません。
それゆえ、2019年9月4日の制裁金確定の同日にYouTubeの変更アナウンスが行われたというわけです。
変更が実施されるのは4ヵ月後(2020年1月)
今回の変更アナウンスによって、一部のYouTubeチャンネルでは存続の危機に陥ることも十分に考えられます。
そして、それはYouTube側も理解しています。
それゆえ、変更アナウンスには次のような文言が書かれています。
今回の変更が一部のクリエイターにとって困難なものであることは認識しております。しかしながら、YouTube.com の子供向けコンテンツに関するデータの取り扱い方法を改善するための重要なステップであると考えています。影響を受けるクリエイターには、YouTube.com で今回の変更が有効になる前に対応していただけるよう、FTC と協議して 4 か月間の猶予期間を設けることになりました。
(出典:YouTubeヘルプ「YouTube.com の子供向けコンテンツに関して今後予定されている変更点」より)
今回の変更が実施されるまでに4ヵ月間の猶予期間が与えられるということです。
変更アナウンスが2019年9月になりますので、猶予期間が終わるのは2020年1月でしょうか。
この4ヵ月間の間に、ヤバイと感じたユーチューバーは対策を講じる必要があります。
講じる対策に関しては変更アナウンスより以下の4つが挙げられています。
・YouTube の利用規約と、一般的な YouTube ユーザーとしての責任について理解する
・その他の収益化方法について確認する
・保護者の皆様は、YouTube Kids とそのメリットをご確認ください
講じる対策というよりは「今回の変更は仕方がないことなので甘んじて受け入れてくれ」ということでしょう。
とりあえずわかるのは、今回の変更は確実に行われ、対象のチャンネルには容赦なく制限がかかるということです。
対象のユーチューバーはどうすればいいの?
4ヵ月後のYouTubeの規約変更に伴い、対象となっているユーチューバーはどうすればよいのか。
私もユーチューバーの端くれではありますので、現時点で収集した情報をもとに見解を述べたいと思います。
現時点では下手に動かない方がいい
現時点でいえることは「下手に動かない方がいい」と考えます。
理由としましては、現時点での開示されている情報が不十分であり曖昧なためです。
子供向けコンテンツの定義もいまいち線引きがピンとこないですし、パーソナライズ広告が廃止された際の影響度についても不明です。
それゆえ、今回の変更アナウンスに対して見切り発車で動いてしまうのはリスキーだと思います。
もちろん、4ヵ月後の変更をみすえてチャンネルの方向性を変更する計画をたてるのは重要ではあります。
ですが、それらは綿密な計画があってのものです。
ユーチューバーをやっている人ならわかると思いますが、チャンネルの方向性なんてものはそうそう簡単に変えられるものではありません。
子供向けコンテンツを扱っている人がいきなり中高年向けコンテンツを扱う。
それはいわば、小学生がメインの雑誌「コロコロコミック」の掲載漫画が、来週からいきなり「ヤングジャンプ」になるようなものです。
ほとんどのファンは困惑するでしょう。
影響が大きいのは弱小あるいは新規チャンネル
子供向けコンテンツを扱っているチャンネルのなかでも特に影響が大きいと考えられるチャンネル。
それは弱小あるいは新規チャンネルです。
子供向けコンテンツを扱っている大手のチャンネルは、大打撃を受ける可能性こそあれど、企業案件や他の収益プロセス(外部への誘導・別の動画サイト)などで生き残る可能性は大いにあります。
しかしながら、弱小チャンネルや新規のチャンネルには規約変更に耐えられるだけのツテも体力もありません。
企業案件を受けられるレベル、外部に誘導できるほどのファンを抱えられるレベルに到達するまで我慢するのはほぼ不可能でしょう。
他のユーチューバーも言っておられますが、私は今回の変更にひっかかった弱小あるいは新規のチャンネルは廃業していくのではないかと思います。
だって…
収益化が制限された状態で延々と動画編集や投稿を行うのはさすがにつらいと思います。
4ヵ月間、死に物狂いで生きる道を模索する
私の現時点での見解は「下手に動かない方がいい」ですが、かといって指をくわえて待っているのはヤバいとも考えます。
子供向けコンテンツをメインにしているユーチューバーなら特にです。
現時点では子供向けコンテンツの定義は明確にはわからないですが、正直なところ、自分のチャンネルが子供向けかどうかはチャンネルを運営している本人が一番感じることだと思います。
正常性バイアス(自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう人間の特性)にとらわれることなく、冷静に考えてみてください。
おそらく、ヤバイと感じる人は多いと思います。
そんな人が取るべき手段。
それは「生きる道の模索」です。
生きる道を死に物狂いで探さなければいけません。
4ヵ月間というのは明らかにYouTube側の情けともとれる猶予期間です。
この間に…
・ファンの特性や規模
・これまでの動画の方向性
を整理して、どのように生き残るかを考えるべきでしょう。
なんとかファンを維持したまま動画の方向性をシフトできそうならラッキーですし、それが今は無理でも4ヵ月後には可能になるよう布石を考えておくのもよいでしょう。
好きだからこのまま続けていきたいは心配
子供向けコンテンツを扱っているユーチューバーさんのなかには…
とおっしゃる人もいるかと思います。
私はそれはすばらしいことだと思います、それどころか真のユーチューバーであるとすら思います。
ただ、ただですよ…
ものすごく水を差すようで申し訳ないのですが、それは正常性バイアス(自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう人間の特性)にかかってはいないですよね?と聞きたいのです。
私はブロガーでもありますので、多くのブログ仲間をみてきました。
そして、「好きだから収益なんて気にしないよ」と言いながら消えていったブロガーも数多くみてきました。
特に、収益が安定していた状態からGoogleアルゴリズムの変動によって収益が激減して消えていったブロガーを数多くみてきました。
きっとユーチューバーも同じです。
これまでもらえていたお金がもらえなくなる。
それは精神的にかなりこたえるでしょう。
さらに一番こたえるのは「影響を受けていない他のユーチューバーは平常運転」なことです。
ブログをやっている人なら「あるある」なのですが、Googleアルゴリズムの変動によって壊滅的な収益減少を受けているブロガーがいるかたわら、まったく影響を受けていない、あるいは収益があがったブロガーもいるのです。
私はGoogleアルゴリズムによって収益が激減したほうですが、やはりつらかったですよ。
「なんで自分だけこんなつらい仕打ちを…」といった思いがこみ上げてきて潰れそうになりました。
「好きだから収益なんて気にしない、このままのスタイルで続けていく」というユーチューバーさんを否定するつもりはありませんが、本当に耐えられるのかは心配になってきます。
そういったことをいえば…
といった声も聞こえてきそうですが、やっぱりブロガーやユーチューバーにとって収益化の問題は大きいですよ。
多くのブロガーやユーチューバーは、やったことのない人には想像を絶するほどの時間を費やしています。
それは趣味というにはあまりにも私生活のリソースを割きすぎていると思います。
まとめ
私はYouTubeで関西弁を教えているチャンネルを運営していますが、おそらく今回の規約変更には影響がないと思っています。
(教育系チャンネルがNG、変装NGなんて規約変更がなされたら…私はオワリです)
ただ…
今回のYouTubeの規約変更はかなり大きな影響を及ぼすと考えています。
現時点で情報が不十分なまま不安をあおるようなことは言いたくありませんが、規約変更の内容がヤバすぎるからです。
今回の規約変更であらためてブログもユーチューバーも水物だなと痛感しました。
もしも、パーソナライズ広告の影響が収益に大きな影響をおよぼす場合は、多くの子供向けコンテンツを扱うユーチューバーに悲惨な事態がおとずれるでしょう。
2020年1月。
これは荒れる予感がします。
私と同じような「おそらく影響のないユーチューバー」にとっても、今回の規約変更は対岸の火事ではありません。
あらためて気を引き締めて方向性を考えていけないなと感じた次第です。
以上、2019年9月4日にアナウンスされたYouTubeの規約変更に関する情報と見解をまとめました。
なんらかの参考になっていれば幸いです。