こんにちは けいこぶ(@kei_cob) です。
働くもの食うべからず。
ニートが増えていく日本において、おそろしい近未来を描いた漫画が再び話題となっています。
その漫画がこちら…
「無職強制収容所」です。
こちらの作品は2016年のエブリスタホラー大賞受賞作品であり、タイトルのとおり無職が許されない近未来の日本を描いた漫画になります。
ニートや生活保護が急増している昨今の日本の現状をふまえ、以前よりもリアルさを感じる漫画となっています。
今回は無職になるのが恐怖となる漫画「無職強制収容所」をご紹介します。
無職強制収容所のあらすじ
2022年、日本に恐ろしい法案が成立する。
「非労働者再生法」
この法案は「6ヵ月以上一定の収入がない無職者は再生処置施設で強制的に脳のリライト処置を受ける」といったもので、対象者は強制的に施設へと送られる。
脳のリライト処置とはこれまでの一切の記憶を消去され、代わりに新しい記憶と労働意欲、専門知識が組み込まれた人間へと生まれ変わる。
それゆえ、脳のリライト処置を受けた人間は「再生者」といった通称で呼ばれている。
法案成立当初は非人道的な法律に反発の声もあがったが、非労働者の削減と再生者の活躍により経済が活性化してくると、反発の声も次第に弱まっていった。
(出典:漫画「無職強制収容所」1話より)
「非労働者再生法」が成立した以降、ニートのような存在は許されない。
月額7万円以上の収入証明のないものは、非労働者再生法第9条11項により強制的に連行される。
もちろん、あらがうすべはない。
主人公 神条達也(かみじょう たつや)は若くして会社のトップチームに入るエリートサラリーマン。
入社当初からずば抜けた能力を活かし、入社2年で全社トップの成績をおさめるほどの実績を残してきました。
しかし、そんな神条のもとに不気味な後輩が配属されます。
彼の名は高木純也(たかぎ じゅんや)、年齢的には神条より若いのにもかかわらずトップチームに配属されることになりました。
さらに不可解なことに彼は何も実績を残していないのです。
(出典:漫画「無職強制収容所」1話より)
神条は同僚から高木は新タイプの再生者である可能性を告げられます。
元々、再生者は対象者の勤労意欲を向上させたり専門知識が埋め込まれるだけの存在でしたが、最近では脳の処理能力をあげられ、さらに仮想的な業務経験も埋め込まれた新タイプの再生者がいるらしい。
高木が新タイプの再生者であれ自分には関係ない。
そう思っていた神条でしたが、ある日会社の人事に呼び出されます。
解雇。
まさかの事態にとまどう神条。
どうやら神条の担当していたインドのエネルギー会社への投資計画が失敗し、その責任を負わされることになったのです。
さらに、その投資計画への不備をしたのは高木。
高木に不信感を抱いていた神条は、解雇を告げられた後の高木の挑発にまんまと乗っかってしまい高木を殴ってしまいます。
ただの解雇ではなく暴力沙汰による解雇。神条の人生が徐々に狂いはじめます。
泣きっ面に蜂のごとく、さらなる不幸が神条をおそいます。
神条の預金がハッキングによりすべて盗まれてしまったのです。
まさに最悪のタイミング。
神条は新しい仕事を探すべく就職活動をはじめます。
しかし、解雇の際の暴力事件も影響して、新しい就職先は見つかりません。
仕事もない、貯蓄もない。
結局、神条は仕事が見つからないままリミットをむかえてしまいます。
労働局で言い渡された宣告、それは脳の再生処置ではなく強制労働でした。
どうやら、再生者には脳のリライト処置以外にも強制収容所での強制労働にわりあてられることもあったのです。
幸か不幸か、神条は再生処置は逃れはしたが「無職強制収容所」へと送られます。
「無職強制収容所」そこには一切の人権がなく、保安局により非人道的行為が許される無法地帯だった。
神条は「3903」といった番号で呼ばれ、度重なる洗脳教育を受けることになる。
(出典:漫画「無職強制収容」2話より)
次第におかしくなっていく他の労働者たち。
神条はまわりの人間がおかしくなっていくなか、なんとか正気を保っていた。
洗脳プログラムの10日目が終了した時点で、保管局の上層部は神条と他何人かの異常に気つく。
神条を含め何人かは洗脳プログラムに例をみないほど抗っているのだ。
処分すべきとの担当員の意見に対して、上層部はとりあえず経過を観察するよう命じます。
無職強制収容所での神条たちの抗いはなお続いていく。
オススメポイント
「無職強制収容所」の魅力は何といっても独特の世界観にあります。
ファンタジーというほどあり得ない設定ではなく、何かの歯車が狂ってしまえばそういった世の中になる。
そんな独特な不安を抱かせてくれる世界観がとても魅力的です。
あと、キャラクターのタッチもきれいで読みやすくスイスイと惹きこまれるように読み続けることができます。
コマの構成や展開もよいですね。
たまにコマを飛びだしたようなキャラクターの絵がありますが、とてもよくなじんでいてインパクトがあると感じました。
たしかに「漫画はコマのなかに入っていないといけない」なんてルールはないですしね。うまく描かれている構成をしています。
全体の雰囲気としては、個人的な意見ですがどことなく「Death Note(デスノート)」に近い印象を受けます。
主人公や背景・所々の挿絵を見るたびに「Death Note(デスノート)」を彷彿させます。
なんとなく主人公もデスノートの「夜神月(やがみ らいと)」に似ていますしね。
再生者といった不気味な存在や非人道的な強制収容所施設も独特で魅力的です。
これは好きな人にはとことんハマるタイプの漫画であると断言できます。私はハマりました。
ビビッとした魅力を感じた人にはぜひともオススメしたい漫画です。
書籍情報
タイトル | 無職強制収容所 |
作者 | 鎌倉敦史 昭伶 |
単行本巻数 | 6巻(完結) |
連載雑誌 | エブリスタ |
出版社 | 双葉社 |