こんにちは けいこぶ(@kei_cob) です。
2019年10月。
世間ではあまり注目されませんでしたが、愛知県豊明市にてなんとも恐ろしい事件が発生しました。
それは、何気なくクルマを運転していた51歳の女性が突如現れた男によってフロントガラスをたたき割られたという事件です。
愛知県豊明市で、車に駆け寄ってフロントガラスをたたき割るなどしたとして28歳の無職の男が逮捕されました。
木崎喬滋容疑者は16日昼ごろ、豊明市の路上で51歳の女性が運転する軽乗用車に駆け寄ってフロントガラスをたたき割るなどしたほか、その数分前にも別の女性(46)の乗用車の前に飛び出してナンバープレートを蹴るなどした疑いが持たれています。女性2人にけがはありませんでした。木崎容疑者は17日夕方、親に付き添われて交番に出頭したということです。取り調べに対し、木崎容疑者は「イライラしたから」と容疑を認めています。
(出典:livedoorNEWS「車に駆け寄りガラスたたき割る 28歳無職の男逮捕」より)
この事件は被害女性にけがはなく、あくまでも器物損害罪ということで大々的なニュースになることはありませんでした。
実際、事件発生後はニュースとして取り上げられましたが数週間もすれば忘れ去られていきました。
ですが私は…
この事件はとてつもなく恐い事件だと思うのです。
それはなぜか?
このタイプの事件の被害者となった場合に対処できることが何もないからです。
■目次■
フロントガラスを襲撃された場合はどうすればいい
実際…
今回のような事件に巻き込まれた場合、あなたならどうしますか?
身の危険を冒してまで、クルマから出て犯人とやり合いますか?
それとも…
クルマを発進して犯人をひきますか?
いろいろ意見はあるとは思いますが、被害者にとって最善の方法が存在しないのです。
クルマを発進させた場合は正当防衛が成立するのか?
今回のようなフロントガラスの襲撃を受けた場合、最も安全な手段は「クルマを発進させて逃げること」です。
ですがその場合は、必然的に犯人をクルマでひいてしまう可能性が出てきます。
さらには、場合によっては犯人が亡くなってしまうこともあり得ます。
そんなときに正当防衛が成立するのか?
そこが気になるところです。
ではここでいま一度、そもそもの正当防衛とは何なのかを考えてみましょう。
正当防衛が記載されている刑法第36条(正当防衛)には次のような文言が書かれています。
第36条
急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
これを読む限りだと…ぶっちゃけると微妙なんですよね。
「防衛の程度」というのが焦点になるとは思うのですが、今回の事件が器物破損で立件されているように、あくまでも犯人はフロントガラスを壊しただけというのが事件の見解なのです。
フロントガラスをたたき割ったあとに犯人が運転手に襲いかかる可能性はあるにもかかわらず、実際の事象だけをみればそれは考慮されないということです。
ですので、私は仮に犯人が襲いかかった時点でクルマを発進させた場合、その後の裁判で無罪になる可能性はあるものの、問答無用で無罪とはならないのが現在の法律の解釈だと思っています。
ではどうすればよかったのか?
………
それがないんですよね。
だからこそ、この事件はとても恐いのです。
類似した事件で正当防衛が成立したケース
今回のこの事件とは直接関係はないですが、似たような事件として記憶に新しいのは2014年に発生した交通トラブルへの判決です。
交通トラブルの相手を車でひいて死なせたとして、傷害致死罪に問われた東京都町田市の元会社員山田義次被告(46)の裁判員裁判の判決が16日、東京地裁立川支部であった。菊池則明裁判長は「正当防衛が成立する」と述べ、無罪(求刑懲役3年)を言い渡した。
判決によると、山田被告は2014年11月5日午後4時ごろ、町田市内の交差点で乗用車を運転中に大学生の男性(当時23)とトラブルになり、男性が被告の車内に手や顔を入れていたのに車を発進させ、後輪で頭などをひいて死なせた。
判決は、男性が激高していた状況を考慮すると、山田被告が防衛行為に出なければ殴られるなどの危険性があったと指摘。「車の発進、加速という行為以外の回避手段をとることは困難。やむを得ず身を守るために許される範囲内の行為だった」と述べた。
(出典:朝日新聞「トラブル相手を車でひく、被告に無罪「正当防衛が成立」」より)
クルマの運転中に誰かとトラブルになり緊急回避としてクルマを発進させた。
まさにフロントガラスを襲撃された場合と同じようなケースといえます。
ですがこの場合も、明らかな無罪ではなく裁判で争った結果の無罪です。
下手をすれば求刑どおり懲役3年になっていたわけですし。
ホント…被害にあったらどうすればベストだったのでしょうか?
加えて、このケースだと相手が車内に手を入れていたという事実が強い証拠となりますが、これがフロントガラスを叩いてきただけだとどうなっているかはわかりません。
ドライブレコーダーの必要性を強く感じた
今回の事件にせよ2016年の事件にせよ、いずれの事件においても感じたこと。
それはドライブレコーダーの必要性です。
ドライブレコーダーを設置したからといってすべての状況を補完できるとは思いませんが、それでも状況証拠になる可能性が幾分かあがるのは間違いありません。
このご時世、考えられないような行動をする人間と遭遇する可能性もあります。
やっぱりドライブレコーダーは絶対に必要。
どちらもそんな思いに駆られるような事件でした。
ニュースは事件の報道ではなく対処法を伝えるべき
私はニュースでは、事実の報道だけでなく事件に対する対処法も伝えてもらえると非常に有益だと思うのです。
今回のフロントガラス襲撃事件に関しても、対処法を教えてもらえず事実だけを流されたところで無駄に不安を抱かされただけです。
結局のところ、被害者はいったいどうすればよかったのでしょう?
襲われる可能性を残しながらも車内で待機すればよかったのでしょうか?
あるいは…
過剰防衛になる可能性もありながらクルマを発進させればよかったのでしょうか?
結局のところニュースを聞いたところで、一般人はどうすればいいのかさっぱりわかりません。
仮にそれがなにも報道できないような状況であるならば、それはもはや法律の欠陥ではないでしょうか。
もちろん、事実を伝えるのがニュースではありますので、対処法まで伝えると効率が悪いのはわかるのですが、今回のような事件を聞いて私はとても不安になりました。
私ならどんな行動を取れていたか。
ベストな行動が何かわかりませんので、きっとパニックに陥っているのは間違いないと思います。
社会は無敵の人に対する対策をそろそろ講じるべき
以前に「無敵の人が生まれる原因」といった記事で語りましたが、今回の犯人も基本的には無敵の人です。
ですので、彼らに対する対処法はありません。
一般人は彼らに遭遇しないようにおびえて暮らし、遭遇してしまったら無事を祈るしかありません。
つくづくおかしな状況だとは思います。
ですが現行の法律では彼らの行動を縛ることはできないのでどうしようもありません。
そろそろ、無敵の人に対する何らかの対策を講じる必要があるのではないでしょうか。
難しいのはわかります。
なぜなら無敵の人も表面上は一般人ですので、対策などといっても容易なことではないからです。
とはいえ今のままだと、一般人は本当に無敵の人におびえ続けなければいけません。
あるいは、無敵の人に遭遇しないように物理的に移住するしかありません。
いやはや…
なんともまあ理不尽な世の中ですね。
愛知県豊明市でのフロントガラス襲撃事件。
なにもできないであろう私としては、とても恐いと感じました。
みなさんはどう感じましたか?