こんにちは けいこぶ(@kei_cob) です。
ここ最近、ネットの一部で炎上している言葉をご存知でしょうか?
それは…
上級国民
2019年4月に連続して発生した高齢者による自動車暴走事故により再び注目されることになりましたが…
「上級国民」という言葉自体は2015年9月1日に生まれました。
結構、古い言葉なのです。
2015年、東京オリンピックのエンブレムをめぐるトラブルがあり、「上級国民」という言葉はそのトラブルの中で生まれました。
かなり大きな騒動になりましたので、記憶に残っている人も多いかと思います。
上級国民とはどこから生まれたのか?
今回はその背景をまとめたいと思います。
「上級国民」とはどこから生まれたのか?
上級国民とは2015年9月1日にネット上で生まれたネットスラングの1つです。
当時、2020年に開催される東京オリンピックのエンブレム案を決定するにあたり、デザイン関係でのトラブルがありました。
東京オリンピックのエンブレム案として採用されたデザイナー佐野研二郎(さの けんじろう)さんのロゴデザインが、ベルギーの劇場で使用されているロゴに酷似していると抗議を受けたのです。
その問題となったロゴとはこちら…
(出典:BIGLOBEニュース「東京オリンピックのエンブレムにデザイン盗用疑惑か」より)
たしかにかなり似ていますね。
配置や構成だけでなく、フォントも同じに見えます。
これは盗用と言われても仕方がないでしょう。
事実、劇場ロゴをデザインした「Studio Debie」社長のTwitterでは次のようなツイートがなされています。
Théâtre de Liège vs Tokyo 2020#Tokyo2020 #ThéâtredeLiège #plagiat? pic.twitter.com/u64MpWBAI2
— Olivier Debie (@OliDebie) July 28, 2015
ちなみに「ThéâtredeLiège」「plagiat」はフランス語であり、次のような意味があります。
plagiat:盗作
まあツイートを読む限りは…
「ブチ切れている」ってことですね。
これに対して、佐野研二郎さんのTwitterやFacebookは…
(出典:「オレ的ゲーム速報@JIN」より)
アカウントが削除され、本人の逃亡疑惑が浮上しました。
これによって事態がさらに悪化し、佐野氏や五輪組組織委員会への批判やバッシングが加速しました。
結局その後…
五輪組組織委員会は2015年9月1日に佐野氏によるエンブレム案の採用を中止すると発表しました。
とまあ、これだけだと単なる盗用疑惑への落とし前をつけただけで済んだのですが…
そのことを発表する記者会見にて、五輪組組織委員会の武藤敏郎(むとう としろう)事務総長の発言が物議をかもすだすことになります。
その発言とはこちら…
(「佐野は模倣を否定しており、エンブレムは自分のオリジナルであると主張している」という内容を伝えた後に)
永井審査委員長はですね、私はこれについて、「どういう風にお考えになりますか?」と伺ったところ、
『デザイン界の理解としてはですね、そのように佐野さんの9分割されたデザインの基本、それはピリオドとは全く違うものであるので、違うものと十分認識できるものであって、佐野さんの言う通り、これは佐野さんのオリジナルなものとして認識されると、自分は思います』
と。
『デザイン界としては、そういう理解であります』
と、ということでありましたが、同時にですね、
『ここまで色々な形で問題となった時に、一般の国民の方々が、今のような説明で本当に納得されるかどうかということについては、現状、問題があるかもしれません』
と。これは永井さん自身のお話でありました。
『残念ながら、自分のこのような説明、それから佐野さんの説明は、専門家の間では十分分かり合えるんだけれども、一般国民にはわかりにくい、残念ながらわかりにくいですね』
という話が、ありました。
武藤敏郎事務総長がどのような真意にて発言したかはわかりませんが、所々にて発言した言葉「一般の国民の方々」「一般国民」といったワードが、まるで差別的な使われ方をされているようだと批判されたのです。
この発言はインターネット上で瞬く間に拡散され…
「お前たちは一般国民じゃないのか?」といった批判が広まりました。
そしてこのとき…
「一般国民」と「その他の人々」とを区別する揶揄的な言葉として「上級国民」という言葉が誕生しました。
「上級国民」の意味は?
上級国民の意味は明確には定義されていませんが、主に「職業」「年収」「資産」をベースに語られることが多いです。
「職業」をベースにする場合、医者や国会議員、投資家など、一般的にハイステータスと呼ばれる職業の人々は上級国民といえるでしょう。
「年収」や「資産」をベースにする場合は、単純にお金を持っているか否かで上級国民かどうかが決まります。
例えば、ネオニートと呼ばれる人たちは「年収」「資産」によって上級国民に分類されるでしょう。
「上級国民」を使用する目的は?
上級国民を使用する目的は、庶民と、庶民を束ねる上流階級の人間とを区別するためです。
そのため、仮にそれが「上流国民」であっても問題ありません。
事実、上級国民のみならず、巷では…
「上流階級の人間」「上流の人間」「トップ層」「富裕層」など、様々な言葉が一般庶民と区別する目的で使用されています。
上級国民とは、いわばその一部でしかありません。
「上級国民」の逆は?
上級国民の逆をいえば…
「ワーキングプア」でしょうか。
ワープア、ワープアと巷ではすっかり定着した言葉になりますが、あれもよくよく考えてみればステータスによる差別的な表現です。
上級国民に限らず見渡せば結構な数の「区別する表現」が見つかると思います。
日本は差別は少ないが区別がある
上級国民の議論をする際に…
本当に上級国民は存在するのか?
なんて疑問はナンセンスです。
言うまでもなく、上級国民なんてのは世の中に数えきれないほど存在しているからです。
これは世の中が資本主義である以上は仕方がありません。
ひと昔前は一億総中流社会なんて言われていましたが、最近ではめっきり聞かなくなりました。
逆にたびたび耳にするのは「2極化」という言葉です。
豊かな人はますます豊かになり、貧しい人はますます貧しくなる。
それは差別かといえば差別ではありません。
単なる区別です。
日本には差別こそ少なくなってきていますが、ステータスによる区別はより明確になりました。
まとめ
以上、上級国民といった言葉の意味や背景をまとめました。
2019年4月の上級国民騒動に関しては、Wikipedia上の「上級国民」のページが削除されるなど、いろいろと事態が白熱しています。
あれだけ白熱するということは、皆それだけ関心があるということです。
一言でいえば…
日本がどんどんと貧しくなっており、人々の不満が溜まっているのでしょう。
空前の好景気が起こっているのなら、人々にもっと余裕があっても良いはずです。
ますます貧富の差が激しくなっている日本。
上級国民に関する騒動は今後も増えていくでしょう。